石たちのオーデション。

コンクリート造りの事務所では、

朝晩だけでなく、

日中も足元が寒くなってきました。

 

スタッフほりちゃんが

南の方でバカンス中なので、

(これは内緒だったかな?)

久しぶりのブログです。

 

現在工事中のY様邸で使う景石を選んできました。

写真はその採石場なのですが、

広さや石の量が伝わりますか?

 

小さい石は夏ミカンくらいの大きさから

大きい石は象やキリンくらいの大きさの石まであります。

 

しかし、これだけございますと、

探せるのは、石山の表面に見えている石のみになりますが、

それだけでもかなりの数です。

 

選ぶときのコツは?

ほぼ直観です(笑)

 

ずらりと置かれている石の山が見渡せる場所に立って、

しばらく眺めていると、石たちのほうから

なんとなく声がかかってくるようになります。

『俺だろ?』とか

『私でいいんじゃない?』とか

たまには

『今は動きたくないから選ばんといて・・・』というような拒否の声まで。

そのような声を聞きながら、

1石で見せるのは君がいいな・・・

3石で組むのは君と君と・・・それから君かな?

みたいな感じで選んでいきます。

まるで役を決めるオーディションみたいです。

 

このオーデションで選ばれた石たちは現場に運ばれ、

職人さんと僕にあらためてじっくり眺められ、

転がされたり、回されたりしながら一番落ち着きのいい態勢で

据え付けられます。

 

造園の修行中、親方に教わった言葉。

『寝ている石を起こすな、起きている石を転がすな。』

なぜなら、無理な態勢に据えられた石はへそを曲げるらしいです。

 

出会ってから据え付けるまで、たくさん石と話をします。

『これでいいかな?落ち着いていられる?』

石からの答えは手触りに伝わってきます。

不思議な話ですが、本当なんですよ。

落ち着いた態勢で据わった石からはほんのりと

暖かいオーラのようなものが伝わってきます。

まだまだ落ち着かないときは冷たくて、

表面のザラザラが手のひらに痛く感じます。

 

石でも植物でも、以前施工したお宅に

伺う際には、触って声をかけてみます。

『どう?元気に暮らしてる?』

みたいな感じですが、

そのときほんのりと手のひらが暖かくなると

僕は安心して帰れるのです。

 

今回選んだ石たちが安心して

Y様邸で暮らせるかどうかは僕や職人さんの

腕にかかっています。

据え付ける日が楽しみです。