し合わせの感じかた

 

春が来た・・・

と感じた途端の夏のような日差しの中、

植木職人さんの手伝いで

僅かばかりの木の陰に守られ

植えつける木に水をやっていた時、

吹いた風の涼しさにおもわず思いだす言葉がありました。

 

『外に吹く風が、家の中のクーラーよりも涼しいことを知って      いる俺たちは、しあわせもんだなって思うんよ。』

埼玉県秩父市の造園会社での修行中に

公共工事で山に入って下刈り作業をしていた時の休憩時間に

様子を見に来た親方が

大木の日陰で休んでいた僕に呟いた言葉です。

 

シャツが絞れるほど汗をかいた背中を

山の風が吹き抜けていき思わず

あ~~気持ちいい!

と思った瞬間に聞いた親方の言葉に驚きながらも

親方はこの仕事のこんなところに

『し合わせ』を感じながら生きてきたのかと思い

仕事というものが与える人間の感受性への影響に奥深さを感じたものでした。

 

建物の陰よりも、緑陰の中にいるほうが

風を涼しく感じることは誰しもが経験したことであるはずですが。

それも忘れがちなものになりますので

施主様の庭に木を植えることの大切さを伝える時に

外からの家の見栄えやデザイン的な話ばかりではなく

木の下で感じる風のことを思い出してもらえばいいのかな?と

今年初めに急逝した親方に

仕事と同時に感受性も育てていただいたことに感謝しました。

 

話は逸れて・・・

映画『男はつらいよ』でマドンナのリリーさんを探す寅さんが

沖縄の日差しのきつさに

たまらず電信柱の影に隠れるシーンがありまして

その影の『細さ』に思わず笑ってしまいます。

機会がございましたらご覧になってみてください。

 

皆さま、ゴールデンウィーク

暑さに気をつけて、

積極的に木の下の陰に避難してくださいね!

                (渡辺)